山水路考―読み書き雑記―

読書と俳句とお茶(時々珈琲)の記録です。

『眺めのいい部屋』E.M.フォースター

 

 1908年刊行。ザ・長編小説のおもしろさ、久々に一気読み。
バージニア・ウルフなどと交友したいたのか。
翻訳者による解説で、主人公たちのその後、第一次世界大戦第二次世界大戦をどう生き延びたかが語られたフォースターのインタビューが抄訳されているのがとてもよかった。
表紙が、オチになっているのが惜しい。

『むかしの山旅』

草枕』(夏目漱石新潮文庫)と『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの(上・下)』(ジャレド・ダイアモンド著・楡井浩一訳/草思社文庫)に何をとりあわせて3冊にするか。

 多読ジム冊匠の「おみくじ」で出てきたのが『むかしの山旅』。

 

芥川龍之介竹久夢二寺田寅彦らの山旅随筆アンソロジー

当時は有名で今は無名の文学者や、著者の連絡先がわからないけど今福龍太さんが名文だと感じた雑誌掲載のエッセイが、事情抜き、「好き」を基準に選ばれている。

自分ではぜったいに選べなかった本だと思うけど、これを読むことで「山」「旅」というベースイメージが浮かび上がってきた。

むかしの山旅 (河出文庫)

むかしの山旅 (河出文庫)

  • 発売日: 2012/04/05
  • メディア: 文庫
 

 

『落語哲学』のレスペクト力

落語と哲学をクロスさせて語った本。

こんなに著者が心躍る気持ちで書いている本を久々に読んだ。

 

「哲学で天才といえるのはヴィトゲンシュタインニーチェである」という序文で始まる。中に出てくる本の引用を見ても、相当に幅広く読んでいるということがわかる。

プロなのだから当たり前といえば当たり前だけど……。

西田幾多郎の哲学がわからない。ああ、読んでおけばよかった。だれか共読してくれる人いないだろうか。

 落語については、知っているはなしが半分強ぐらい。

たまたま落語の本をたくさん読んだあとでよかった。

今まで東京の落語家に興味が薄かったけど、志ん朝志ん生を聞いてみたいという気持ちになる。聞いてないなんて人生の大損失だ、そんな雰囲気を感じた。

これだけある人のことをレスペクト出来る文章を、書けるようになりたい。

 

 

 

落語―哲学

落語―哲学

  • 作者:中村 昇
  • 発売日: 2018/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 『草枕』と『文明崩壊』の併せ読み。

おそろしく響き合っている。

小学生の時、文明と文化は「対」のように習ったけど、そんなに単純な関係ではないということが見えてくる。

文明は人が生きるための装置、システムだが、人を殺すこともある。

逆に文化が、コミュニティを衰退に導くこともある。

魚を食べるような遅れたものたち、教会をたてないような野蛮人にはなりたくない。

生活スタイルを変えることを選択せず、グリーンランドのヨーロッパ人入植地は滅びた。

 

文明崩壊 上巻

文明崩壊 上巻

 

 

 

 

桜散るニュース、ビーズを一つ踏む

古本、届く。 定価よりもとても高くてシミだらけで、鉛筆のマーキングがいっぱいあって、しかも1986年のカード型カレンダーが挟まっていたが、買ってよかった。

少し干して匂いを取ろう。

カード型カレンダーのフォントがゴナで、時代がよみがえる。なぜDTPの時代になってゴナがなくなってしまったのだろう。

<目次>

第一部 メタローグ

物はなぜゴタマゼになるの?

フランス人て……

マジメな話

どれだけ知ってる?

輪郭はどうしてあるの?

人間なのに……

本能って、なに?

 

 

 

精神の生態学 (上)

精神の生態学 (上)

 

 

この珈琲はいずこより来るドミニカ共和国から来る

本についての雑談会で、珈琲がのみたくなる本は? という話題が出た。

寺田寅彦がまっさきに思い浮かぶ。

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やはり人造でもマーブルか、乳色硝子の卓子の上に銀器が光ってい

て、一輪のカーネーションでも匂っていて、そうしてビュッフェに

も銀とガラスが星空のようにきらめき、夏なら電扇が頭上に唸り、

冬ならストーヴがほのかにほてっていなければ正常のコーヒーの味

は出ないものらしい。コーヒーの味はコーヒーによって呼び出され

る幻想曲の味であって、それを読みだすためにはやはり適当な伴奏

もしくは前奏が必要であるらしい。銀とクリスタルガラスとの閃光

アルペジオは確かにそういう管弦楽の一部員の役目をつとめるも

のであろう。

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「珈琲哲学序説」

『銀座アルプス』(寺田寅彦著、角川ソフィア文庫、319p)

 

銀座アルプス (角川ソフィア文庫)

銀座アルプス (角川ソフィア文庫)

  • 作者:寺田 寅彦
  • 発売日: 2020/05/22
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

 

 

春の夜更かしは薄明に追い立てられる

グレゴリー・ベイトソンの『精神の生態学』、やっと読み始める。 

序文は娘のメアリー・キャサリンベイトソン
ずっとグレゴリー・ベイトソンの会話相手役だったという。
「世に万円している種類の知の外側に踏み出て、問題を問いつめようとする者には、純真な子供こそが対話者として必要だったわけだ」(4p)
子供は「外」からの眼をもって、既存のシステムをやすやすと破壊してくれる。
私はそれほど少子化を悲観していないけれど、こういう点では気になっている。

精神の生態学

精神の生態学