山水路考

本の記録です。

2021-01-01から1年間の記事一覧

『チョウはなぜ飛ぶか』日高敏隆

1975年刊行の本。 日高敏隆さんによる、アゲハチョウの行動のナゾについての仮説→実験→検証の軌跡が、いきいきと叙述されている。 なぜアゲハチョウは決まった道を通るのか。 オスはどうやってメスを見つけるのか。 成功した研究ではなく、まだ未知が残って…

「開国」とは、国内ルールを棄てて国際ルールで生きていくと決めること? 『日本の失敗』松本健一

8月。戦時中に生まれてたらぜったい軍国少女になってただろうなーと思います。田辺聖子さんのエッセイを読んで、ハッとしたことがあります。ようやく読んだ松本健一さんの本、終章近くに坂口安吾が出てきます。法隆寺とか桂離宮に日本の美が宿っているので…

柳田國男を読み、図解する2日間/『遠野物語・山の人生』

遠野物語・山の人生 (岩波文庫) 作者:柳田 国男 岩波書店 Amazon 2021年度前半の輪読座は柳田國男。 月に2日間、柳田國男を集中して読み、図解する。これぐらいしないとなかなか読めない巨大な人物だということが読むプロセスでわかってきた。 民俗学者、方…

中国の面影。『霊山』

霊山 作者:高行健 集英社 Amazon ノーベル文学賞作家でありながら、一時期母国・中国では発禁になっていた高行健(ガオ・シンヂェン)の長編小説。 難解と前評判で聞いていたが、私にとっては心地よい読中感覚を感じる小説だった。 村上春樹にどこか似ている…

可笑しくてやがて凄し。『西南シルクロードは密林に消える』(高野秀行)

西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫) 作者:高野秀行 講談社 Amazon 1日で一気読み。 著者は早稲田大学探検部卒業。若き日に立てた志、 「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを 面白おかしく書く」というモットーを全うした紀…

『虚数の情緒』吉田武

数学ブーム。この本もおもしろい。 第二部1章自然数 数の始まり 途中まで読む。 おもしろいところはついつい子どもにしゃべる。 虚数の情緒―中学生からの全方位独学法 作者:吉田 武 東海大学出版会 Amazon

『数学であそぼ。』絹田村子

なぜか空前の数学の本ブームが到来している。 『数学であそぼ。』は、神童と言われて京都の「吉田大学」に入ったものの一日目にして数学の授業のわからなさに、2年間キャンパスに足を踏み入れることができなくなった主人公が、卒業を目指して数学の道を歩き…

『まんが親』吉田戦車

20年ぶりに吉田戦車のマンガを読んでみた。 高校の時に脳天をぶち割られるほどショックを受けた。特に好きで記憶に残ってるのが、みっちゃんのママシリーズで、私の理想?のかあさん像のモデルの一部になっている。 まんが親(1) (ビッグコミックススペシ…

『星と伝説』野尻抱影

星と伝説 (偕成社文庫) 作者:野尻 抱影 偕成社 Amazon 見た目は少し渋いけど、子どもから小1から小2にかけて何度も「読んで」とリクエストのあった本。世界各国の星の伝説が収められている。 野尻抱影翁の文章は流れるようで、何度音読しても飽きない。 織…

「+」はいつ生まれた?

『算数なるほど大図鑑』(ナツメ社) 最近、小2長女にリクエストされるまま、一緒に少しずつ読んでいる。 「+」や「ー」や「×」や「÷」はいつ生まれた? こういうことを最初に教えて欲しかったな~と思うので、今、そうしている。 諸説あるのだろうが、こ…

『せいめいのれきし改訂版』

せいめいのれきし 改訂版 作者:バージニア・リー・バートン 岩波書店 Amazon ようやく改訂版を買う。 長女がエンピツを持って「ちがうところ探し」をしながら読む。 一番大きな変化は「恐竜」というワードが出てくること。 最初の版では「ダイノサウル」とな…

『眺めのいい部屋』E.M.フォースター

眺めのいい部屋 (ちくま文庫) 作者:E.M. Forster 筑摩書房 Amazon 1908年刊行。ザ・長編小説のおもしろさ、久々に一気読み。バージニア・ウルフなどと交友したいたのか。翻訳者による解説で、主人公たちのその後、第一次世界大戦、第二次世界大戦をどう生き…

『むかしの山旅』

『草枕』(夏目漱石/新潮文庫)と『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの(上・下)』(ジャレド・ダイアモンド著・楡井浩一訳/草思社文庫)に何をとりあわせて3冊にするか。 多読ジム冊匠の「おみくじ」で出てきたのが『むかしの山旅』。 芥川龍之介、…

『落語哲学』のレスペクト力

落語と哲学をクロスさせて語った本。 こんなに著者が心躍る気持ちで書いている本を久々に読んだ。 「哲学で天才といえるのはヴィトゲンシュタインとニーチェである」という序文で始まる。中に出てくる本の引用を見ても、相当に幅広く読んでいるということが…

『草枕』と『文明崩壊』の併せ読み。 おそろしく響き合っている。 小学生の時、文明と文化は「対」のように習ったけど、そんなに単純な関係ではないということが見えてくる。 文明は人が生きるための装置、システムだが、人を殺すこともある。 逆に文化が、…

桜散るニュース、ビーズを一つ踏む

古本、届く。 定価よりもとても高くてシミだらけで、鉛筆のマーキングがいっぱいあって、しかも1986年のカード型カレンダーが挟まっていたが、買ってよかった。 少し干して匂いを取ろう。 カード型カレンダーのフォントがゴナで、時代がよみがえる。なぜDTP…

この珈琲はいずこより来るドミニカ共和国から来る

本についての雑談会で、珈琲がのみたくなる本は? という話題が出た。 寺田寅彦がまっさきに思い浮かぶ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ やはり人造でもマーブルか、乳色硝子の卓子の上に銀器が光ってい て、一輪のカーネー…

春の夜更かしは薄明に追い立てられる

グレゴリー・ベイトソンの『精神の生態学』、やっと読み始める。 序文は娘のメアリー・キャサリン・ベイトソン。ずっとグレゴリー・ベイトソンの会話相手役だったという。「世に万円している種類の知の外側に踏み出て、問題を問いつめようとする者には、純真…

多読ジム シーズン05ブッククエストで読んだ本

多読ジム https://es.isis.ne.jp/gym 星戀 (中公文庫) 作者:野尻 抱影,山口 誓子 発売日: 2017/07/21 メディア: 文庫