山水路考

本の記録です。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

十三夜目指して太るお月さま/多読記(18)

夜の散歩に行きたいと長女(7才)が駄々をこねるので、明日の用意が何もできていないのに夜、マンションの5階共用部まであがる。 寒い。大人は寒い。けれど、凛とした、冴え冴えとした月は見に上がった価値があった。 575つくってみなさいな、とお題を…

幸福な火傷むかごの天ぷらや/多読記(17)

敦賀での仕事の後、京都駅でご飯を食べる。長男が早く帰る必要はないから、どこかでゆっくりご飯をたべてきたらと言ってくれたのである。 10分迷って、伊勢丹11階で憧れのカウンター天ぷら。 私は一人だったけど、周りのお客さん(だいたい大人のカップル)…

この猫はそろそろ冬毛秋の暮れ/多読記(16)

たいてい一眼レフを持って出る長男。 いい猫が撮れたと相好を崩す。 日曜日の夕方、鍋材料を買いに出る。風が冷たい。この散歩の後、体調を崩す。月齢1.7の月が見たかったがかなわず。 微熱のふとんで読んだ書評本。全ページ、苛烈猛烈。ロシア語同時通訳者…

梅干の種流しに数多風邪っぴき/多読記(15)

風邪をひいた。 パソコンに向かうのは辛いが、風邪をひいても紙の本は読める。 今日の一冊は磯田道史さんの『武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新』。 長男が大きくなってきて、このあたりの本がかなり読みやすくなってきた。 読みながらおもしろいと…

ゆつくりと病める幸せ秋の空/多読記(14)

風邪をひく。 去年しこんだかりんシロップをお湯で割って痛む喉をあたためる。 こんな日は少年少女向けの空想科学小説だ。 育種家でもある藤田雅矢さんのSF『クサヨミ』。 中学生のときだけ発現する、植物の記憶を読める能力がモチーフになっている。 植物…

里芋の葉に一つぶの水の玉/多読記(13)

サトイモの葉に昨晩の雨が残っていた。 ほとんど球体の、まさに水玉。 水は無重力では球になるということを連想する。 イギリスのアート・カレッジの学生の卒業制作のドキュメンタリー、『ゼロからトースターを作ってみた結果』、なんとなく一気読みせず、長…

秋冷の一日物語に遊ぶ/多読記(12)

急な冷え込み。 子ども達も朝から寒い寒い、パジャマを冬用に変えなきゃという。 娘は外に出るのはやめて、アマゾンプライムでレゴフレンズをえんえんと見ている。 その横で本を読んでいた。 ・・ 先週、「自分ってだめだなあ」と思うことがあった。 ふと、…

薄明の終わりて秋の一つ星/多読記(11)

長男は晴れている限りいつも星空の撮影をしている。 昼は、星の話をずっとしている。「薄明」は、太陽が沈んでからまだ明るさが残っている時間帯。 それが終わってから本格的に星空観察タイムに入る。 日没の時間だけではなく、薄明の終わる時間も気にしてい…

野沢菜の塩漬け長し冬隣り/多読記(10)

野沢菜のシンプルな塩漬けを買う。 パックから出して切ろうとしたら、50センチ以上あった。こんなに長いんだ。長野県産。畑にあったころの野沢菜にひととき思いを馳せる。 長男は野菜に興味があるので「おお! 小松菜とかよりずっと長いな」と一緒に驚いて…

みずがめ座見た帰り道犬静か/多読記(9)

夜9時、長男が南の星を撮りたいというので徒歩2分の撮影スポットについていく。小学校の北門。運動場のおかげで暗く、星がほく見えるのであった。 途中、会ったことのない遠縁の親戚の家がある。 犬がいるのだけれど、吠えず、静かに外を見ていた。 月の無…

開いたまま閉じぬ眼や秋刀魚食ふ/多読記(8)

海なし県だが、めずらしくスーパーのさなか売り場に秋刀魚の刺身が売っていた。ぴかぴか光る頭付き。 長男が「初めてかも」と言いながら買う。 一口食べて「うーん」。それでも3、4きれ食べた。 超慎重派だが、好奇心がちょっとずつ世界を広げる。私も食べ…

長き夜の灯に照らさるる人もなし/多読記(7)

オンライン上での連句遊びに参加する。 24時間以内に付ける。 それにしてもすっかりルールを忘れている。 習うより慣れろ。 【晩秋】か【三秋】で、人でないものの視点でというシバリにわくわくする。 歳時記必携。 合本俳句歳時記 第五版 発売日: 2019/03/2…

野分過ぐ物語られぬこと数多/多読記(6)

台風は朝のうちに去っていった。午後、イシス編集学校の響読会で『物語の函』を読む。 解説、図解、他では聞けない話がどんどん出てくる。 特に印象に残ったのは、スペインの話。 「神の世界から人の世界へ」。ルネサンスの潮流は「母語」から「国語」を作る…

一年生帰りつきたり秋嵐/多読記(5)

長女(小1)が学校から帰ってくる時間帯、雨と風が強かった。 風に飛ばされてるんじゃないかと思って玄関に出たタイミングで、びしょぬれになりながら帰ってきた。少しこわばった顔をしていたが、「飛ばされてるんじゃないかと思って」と声をかけると、「心…

豚汁の材料重し秋時雨/多読記(4)

熱い紅茶を飲みながら『失われた時を求めて4』を30分読む。 思春期のプルーストの前に、少し年上の貴族階級の青年サン=ルーが現れるシーン。 「ところが当時の私のばかげた年齢ーしかし思春期という、ちっとも不毛ではなく、じつは豊饒な年齢―の特徴は、知…

カフェに行く鞄には本鰯雲/多読記(3)

朝、今日は30分集中して読みたい本があったので、自転車で10分のスタバへ行く。3年ぶりぐらいにラテを頼んでみた。 その本とは、イシス編集学校で知り合った病理医の小倉加奈子さんが書いた『おしゃべり病理医のカラダと病気の図鑑 人体サプライチェーンの…

ちびた箒立つ秋の一つ星/多読記(2)

長男の星座撮影につきあって夜9時半ごろ、小学校の北門前の少し暗いところへ行く。「つる座もある!」 撮る範囲を決めるのがむずかしいみずがめ座も無事、撮れたらしい。◇今日読んだ本は、『扇島歳時記1』(高浜寛、リイド社)。 舞台は慶応2(1866)年の…

アルデバラン見え始めたる神無月/多読記(1)

はじめまして。多読と俳句とお茶(時々珈琲)のブログです。◇ 今日、読んだ本は『食べごしらえ おままごと』(石牟礼道子、中公文庫) @深煎り珈琲。 お昼前、小さな神社のマーケットへ。なじみの一箱古本屋さんで見つけた一冊。石牟礼さんといえば『苦海浄…