山水路考

本の記録です。

開いたまま閉じぬ眼や秋刀魚食ふ/多読記(8)

海なし県だが、めずらしくスーパーのさなか売り場に秋刀魚の刺身が売っていた。
ぴかぴか光る頭付き。

長男が「初めてかも」と言いながら買う。

一口食べて「うーん」。それでも3、4きれ食べた。

超慎重派だが、好奇心がちょっとずつ世界を広げる。
私も食べた。あぶらがのっている。食後は緑茶で口をさっぱりさせた。

・・

10月12日、イシスの多読ジムが本格的にスタートする。

目次だけ読んで終わっていた森村泰昌さんの『踏みはずす美術史』をふと開いてみるとおもしろい。

「美術の極意は「考えるな、食べろ、着こなせ!」」

森村さんはホントにモナリザを着ようとする。
生地は厚地か薄手か。ちらっと見えているのは見せる下着か?
手が長すぎる?

さまざまな模写にも見ながら、考える。着ようとしてはじめて、服の素材、メイク、ポーズ、すべてをじっくり観察し、見えないところに想像をめぐらせるスイッチがはいるのであった。 

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ひとびとがこれまでに作ってきた無数の「モナ・リザ」が私に

さまざまな知恵を与えてくれるのだとしたら、それらの総体を

モナ・リザ」だととらえてもいいのではないか。

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(p54)第2章「モナ・リザ」になる より

 

踏みはずす美術史 (講談社現代新書)

踏みはずす美術史 (講談社現代新書)

  • 作者:森村 泰昌
  • 発売日: 1998/05/20
  • メディア: 新書