剪定の枝に冬毛の猫丸し(27)
小1の長女が小学校の図書室で毎日のように本を借りてくる。
漫画の「ひみつ」をひとしきり借り終わった後、きらきらした表紙にくるまれた過去の名作本を借りてくるようになった。
『リジ―の結婚』?
ラノベ風の表紙。結婚って…早すぎるやん。一瞬目をそらしたが、思いきってじっくり見ると「プライドと偏見」と小さな字で書いてある。
ひゃー! 私が二十歳ぐらいで読んで世界文学にハマるきっかけになったジェーン・オースティンの『高慢と偏見』のリライトではないか。
長女の要約は「あのね、二人の男の人が出てくるんだけど、一人はあんまりいい人じゃなかったんだよ。それでリジ―はいいほうの人と結婚するんだ。それでめでたしめでたしっていうこと」
ほほう。要約したということは読みきったということだな。
あの長編をどうやってリライトしているのか。一時間で読みました。
それでわかった。主人公リジ―の視点だけに絞るとこうなるのか。物語稽古的にものすごく参考になる。
私がもっとも萌えた、ミスター・ダーシーが突然池に飛び込み、泳ぐところはほぼカットされ、いきなりびしょぬれになったダーシーが主人公の前にいきなり登場するというハコビになっていた。
ダーシーの葛藤ぶりを示す、ファンにとっては絶対欠かせない場面。BBCのドラマも見たけど、ドラマではけっこう長いシーンになっていた。
だいたい私の記憶では、リジーではなくリズまたはエリザベスだし、それ以前に、完全にダーシーだけに注目して読んでた自分に気づく。
ドラマのコリン・ファースがまったく期待を裏切らず、とにかくかっこよかった。ドラマの演出家は私と同じ読みであったのかもしれない。
イギリスも日本も、「母親」の言うことが変わらないことに驚いたものだった。
長いのも良い。
私の偏見では、日本でいえば『細雪』が同じおもしろさを持っていると思う。