こりこりとくらげ食む夜の火星かな(23)
「脳の限界ってどれぐらいなんかな?」とだしぬけに長男に尋ねられた。
え、、、無限大じゃないと答える。
「もしかしたら、記憶の取り出しがまずいだけなんかな?」
長男(12)が、記憶の想起についてあれこれ話しかけてきた。
最近、ぼーっとしていると、急に記憶がよみがえることがある。
一度思い出したことは次も思い出しやすい。
そのときの感情やそのときの星座なども一緒に出てくる。
おもしろいからワードにメモしているという。
中華料理屋さんに歩いていく途中も話す。
そうそう、まさに。人間って膨大な情報にさらされてるんだよ。
取り出してないだけで蓄積はされていると思う。
「構造化」とか「ストーリー化」されたものしか取り出せない気がすると話しつつ、
取り出されると、すかさず再編集されるのかなと考える。
自分でワードに書いているとは、おもしろい。
「記憶の仕組み」に興味が出てくるとは、意外だった。
こんな話ができるのもあと数年かもしれない。
家族4人、落ち着いて中華料理を食べる。
偏食で、知らない場所が極度に苦手だったのに、コース料理が食べられるようになるなんて。
帰り道、火星が天高くのぼっていた。